2016年10月2日日曜日

ピックアップ・レビュー/DiMarzio(ハムバッカー)編①

ラインナップを押さえきれていないのですが、ディマジオのハムバッカーのレビューです。

DiMarzioのピックアップは倍音のコントロール等かなり計算された音作りなので、マウントするギターによって音/相性の変化が大きいイメージがあります。
ラインナップ変更やモデルチェンジによるトーン変更も積極的に行っています。
以前使っていたものが無くなっていたり、新しいモデルもかなり増えているので、そういう点で興味を惹くメーカーです。


DP100 『Super Distortion』

ダンカンのSH-4『JB model』に並ぶド定番リプレイスメントPUです。
名前の通り、よく歪みます。

単純にパワーがあって歪むというよりは、歪みが多い・低いゲインで歪んでくれるというイメージです。
適度に山が作ってあって、その頂点が上手く歪んでくれる感じでしょうか。
密度が高い部分が団子になってヌケが悪くなる、ということはありません。

クリーンの時点でチリチリと歪みの成分を感じるのですが、ゲインを上げても潰れず、張りがあるクリーン/クランチを作れます。
歪みの粒が粗い割にセパレーションは悪くありません。

良い意味で古臭い音がします。
DiMarzioの新しい設計のピックアップは低域の減衰を速くしてキレを重視したものが多いので、低域/中域に「粘り」のあるSuper DistortionはDiMarzioのラインナップ内で貴重なイメージです。


DP102 『X2N』

パワー系です。


DP103 『PAF 36th Anniversary』

2008年に旧モデルDP103『PAF』からモデルチェンジされたのですが、先代より中域に厚みがあります。
旧モデルDP103『PAF』をフロントに、DP103『PAF 36th Anniversary』をリアにマウントするとバランスが良かったです。
現行だとDP223『PAF 36th Anniversary Bridge』をリアに、このDP103『PAF 36th Anniversary』をフロントに組み合わせるのがセオリーです。

しかしこれ、どちらかというとフロントよりもリアに適性があると思います。
GibsonのBurstbucker Type 3を大人しくした感じなので、フロントに載せるなら24フレットモデルや軽いギターを選ぶか、リバースマウントにしてやっと他のPAF系モデルと同等、という感じです。

ビンテージ・アウトプットのモデル中でも特に高域が大人しいので、レスポールに載せるのは避けた方が無難です。
逆にSGあたりで使うと、暴れず扱いやすいと思います。


DP104 『Super2』

安易な言い方をすれば、DP100『Super Distortion』のフロント用です。
公式のトーンチャートは極端にトレブル寄りになっていますが、知っている人に聞くと、どうやら旧型はそのチャート通りのトーンだったそうです。
実際にはDP100『Super Distortion』の低域の出力を下げて中域・高域のレスポンスを良くした感じでした。

歪み方はDP100 『Super Distortion』に似ています。
フロント/リアの組み合わせを考える上で割と大切な要素なので、このあたりはさすがです。
もちろん、このSuper2をリアに使ってみるのもアリだと思います。
※受注生産商品です


DP151 『PAF Pro』

DiMarzioのピックアップで1番好きです。
ピッキングに対する反応が抜群で、非常に心地よいドライブ感で弾いていて楽しいですね。
フロント/リアどちらにも高い適性があります。

出力はパワー・タイプより抑え気味なのですが、ビンテージ・タイプのクリーンの張りやクランチのキレを維持しつつ、よりパンチの効いた音を出せます。
ピークは中域にあるのですが低域・高域もしっかり出るので、中域の出力が大きいというよりは密度が高い感じでしょうか。
Gibson『Burstbucker Type 3』のように中域に少し鼻にかかる部分があり、程よい粘りと存在感があります。
低域はヌケが良く、高域はバイト感とDiMarzioで1番自然な「枯れ」があります。

唯一欠点を挙げるとすれば、組み合わせるPUが無いところでしょうか。
PAF Proの派生モデルと言える『DP153 FRED』『DP213 PAF Joe』『DP216 Mo' Joe』あたりは当然サウンド的な相性は良いのですが、ルックス的に統一感がありません。
ポールピースの色とサウンドの相性を両立出来るモデルを、フロント用でもリア用でも欲しいな~と思います。
(ちなみに僕は、フロントがPAF ProならリアはDP159『Evolution Bridge』、リアがPAF ProならフロントはFERNANDESのサスティナーで使っていました)


DP153 『FRED』

PAF Proをよりモダンに仕上げたサウンドです。
どこかをブーストした…というよりも、全体的にレスポンスを向上させた印象です。
サスティンはPAF Pro同様中域が粘るのですが、アタックはよりワイドレンジでエッジが立っています。

良くも悪くもHi-Fiでとてもセンシティブなので、好みが分かれると思います。
個人的にはロックには向いてない気がします。
もっと繊細なジャンル、例えばクリーン他色々な音が必要なPops、ジャズの指弾き、トーンで言えばメタルやプログレッシブあたりで重宝しそうです。


DP155 『Tone Zone』

これも定番ですね。
DP159『Evolution Bridge』の高域と低域を入れ替えた感じでしょうか。
要は低域がスゴイ、ということです。

レスポールのような重量のあるギターだと、低域が飽和して安定感を感じるくらい大人しいトーンです。
これはこれで扱いやすくて良いかもしれませんが、軽いギターにマウントした時の『暴れる低域』こそがこのPUの真骨頂です。

中域はダンカンのSH-4『JB model』に似た追従性の良さを感じます。
高域は、輪郭やバイト感を維持するのに最低限の量です。
とは言っても、PAF系モデル(カバー付き)に近いレンジは確保してあります。

SGやフライングVでレスポール並みの低域が欲しい場合はこれに勝るPUは無いと思います。
良い意味で古臭いサウンドで、安心して使えます。


DP156 『Humbucker From Hell』

名前からは想像し辛いですが、「シングルコイルの音を出せるハムバッカー」という体のPUです。

確かに、レンジの広さはシングルコイルに近いです。
しかし、アタックや低域の立ち上がりはハムバッカーです。
当たり前ですが、シングルコイルサウンドの再現度はスタックタイプのシングルコイルPUの方が上です。
高域が出て、音が太くないハムバッカーという認識が正しいと思います。

線が細い割には出力があるので、フロントでシングルコイルのサウンドが欲しいけどリアのハムバッカーと出力のバランスがとれない、という場合にはコレの出番です。


DP158 『Evolution Neck』
DP159 『Evolution Bridge』

個人的に「DiMarzioの音」と言えばコレを思い浮かべます。
同じハムバッカーでも、PAFとは完全に別物です。

まず、高域がメチャクチャ歪みます。
コンプレッション感が強く、サスティンもここが残ります。
中域も密度はあるのですが、高域ほど歪みません。
サスティンは長くないものの、唸りながらキレイに高域に混ざるのが心地よいです。
低域は出ないですね。
イコライザーでローカットしたみたいに「ザクザク」で、重いギターにマウントしてやっと「ズンズン」と表現してもいいかな~と感じる程度です。

そして、フィンガリングに対するレスポンスが異常に良いです。
ミュートが上手くないと余計な音まで拾われるので大変です。
逆にピッキングは多少のミスタッチが気にならないくらいオマケしてもらえます。

存在感の塊ですね。
レンジは決して広くないのですがタイトでキレがあり、歪みだけでなく張りのあるクリーントーンも魅力的です。


DP160 『Norton』

良くも悪くも無難です。
DiMarzioらしさは無いですね。

公式曰くFREDとTone Zoneの中間、とのことですが、確かにそうだと思います。
モダンで高域が強いPUと、トラディショナルで低域が強いPUを混ぜるとどうなるか…

出力はそこそこあります。
ダンカンのSH-4『JB model』のクセを弱くしてフラットにした感じでしょうか。
フロント(特に22フレットモデル)だとヌケが悪いです。

積極的にコレを選ぶ…というよりは、ピックアップのトーンバランスをとるための選択肢としての存在感を感じます。


DP161 『Steve's Special』

ドンシャリです。
それぞれのコイルを別々にタップして比べると分かりやすいのですが、ブリッジ側で高域を、ネック側で低域を拾って混ぜているイメージです。
リバースマウントにするとドンシャリの傾向は弱くなります。(中域が弱いのは変わらず)

ハイゲイン系にしてはレンジが広いです。
Gibson『Burstbucker TYPE2』の中域を削ってゲインを上げた感じでしょうか。
倍音が多く、適度に暴れます。


ピックアップ・レビュー/DiMarzio(ハムバッカー)編②

ピックアップ・レビュー/DiMarzio(ハムバッカー)編① の続きです。 P-90のサウンドを再現するハムバッカーサイズのPUです。 音を拾うのはアジャスタブル・ポールピース側のみなので、本来ならシングルコイル(スタックタイプ)として扱うべきなのですが、まぁハムバッカー「サイズ」としてまとめた方が話が分かりやすいと思うので。 あまりP-90の音に詳しくないのですが、ちょっと違うかな~と。 ...